FRYN.

ラジオ、映画、本、音楽、服、食事、外国語学習、など趣味の記録。Twitter : @fryn_you

『キューティ・ブロンド』

 『キューティ・ブロンド』2001年

 

キューティ・ブロンド』を初めて見た。

予想を上回るいい映画だったので、感想を書くことにしました。

 

あらすじ(allcinemaより)

陽気で天然ブロンド美人のエル・ウッズ。大学ではファッション販促を専攻し、成績も優秀で女性社交クラブの会長を務めるほどの人気者。そんなエルがいま何よりも待ち望んでいるのが政治家志望の恋人ワーナーのプロポーズの言葉。しかしある日、ワーナーが切り出したのは別れ話。議員の妻にブロンドはふさわしくないというのが理由。突然のことに動転するエルだったが、ワーナーがハーバードのロー・スクールに進学すると知ると、自分もそこに進みワーナーに認めてもらおうとファイトを燃やし、みごと超難関の試験を突破するのだったが……。

 

陽気なブロンド女性=「美人だけど頭が悪い」というステレオタイプを題材にした映画。原題は "Legally Blonde(法のブロンド)" で、"Legally Blind(法的に盲目)"を文字っている。この映画は知っていて、面白いだろうけど、別に見ないかなあと思っていたのですが、見た結果、思った以上に良い映画でした~!

 

【以下、ネタバレ含む、雑多な感想】

 

登場人物の印象が初めと終わりで変わるのが最高。

 個人的に、むかつくと思ったやつが実は、いいやつだったり、良い人だと思ってた人が、実は悪い人だったり、登場人物の印象が変わる映画は、良い映画だと思う。この映画も、最初はムカつく恋敵だと思ったヴィヴィアンが、エルの共感しあえる仲間になったり、尊敬できる弁護士だと思ってたキャラハン教授が実はセクハラくそオヤジだったりと、最初と最後で印象が変わる。実際の人間も、第一印象の通りなわけはないし、人間の多面性を描いている映画は軒並み、良い映画だと思う。

 

恋敵のヴィヴィアンと主人公のエルが友情で結ばれるのが最高。

 ワーナーの気を惹こうとハーバードに入ったエル。ところが、ワーナーには婚約者が出来ていた!その婚約者がヴィヴィアン。金髪のエルに対して、ヴィヴィアンは黒髪でTHE まじめ って感じの女の子。しかも、最初の授業で予習をしてこなかったエルをばかにするような態度をとったり(エルも悪いが・・・)、予習のためのグループワークにエルを入れなかったり、本当に嫌な奴に見える。

 しかし、がむしゃらに頑張るエルを見て、ヴィヴィアンのエルに対する印象が変わっていき、ついに、あることをきっかけに、二人の間に友情が芽生える。やがて二人は、頭からっぽのボンボン野郎・ワーナーの悪口を言い合うまでの関係になる。

 もともとは、男を奪い合う仲だった二人が、最終的に、そんな男とがどうでもよくなり、友人になる展開が、本当に最高で、親指立ちました。男なんて、介在しなくても女の子はハッピーになれるという、この展開はマジで好みでした。

 

勉強で得た知識+自分らしさ=最強

 この映画は、全体を通じて「女らしさ」に対する批評性を持っている。そもそも、金髪女=バカ、というイメージをひっくり返す映画だし、男のだめさや、セクハラなど、女性に降りかかる問題を取り扱っている。

 しかし、この映画が優れているのは、エルが単に今までの自分らしさ(=おしゃれで、化粧やかわいい犬や服が大好き!)を捨てて、全く違う自分になることを物語の終わりにしていないこと。

 エルは物語の終盤で、キャラハン教授にセクハラを受けて、ショックを受けて弁護士になるのを止めようとする。自分がキャラハンに選ばれたのは、金髪で、胸が大きくて、見た目が良かったからだ、彼女は大学院もやめて、家に帰ろうとする。しかし、ストロムウェル教授に発破をかけられて、エルは「ある色」のスーツを着て、再び法廷に戻ってくる。そして、自分のおしゃれの知識を生かして、被告人の無罪を勝ち取る。

 「ある色」はエルらしさの象徴だと思う。一見正反対に見える、ロースクールで学んだ知識と、エルらしさが合わさることで、エルは本当の自分になる。話がうまくいきすぎるところもあるけど、本来の自分らしさだけでもなく、努力して獲得しただけでもなく、その両方によってこそ、人は自分の資質を十分に開花しうる、というこの展開は大好物なので、最高でした。

 

【エルの卒業スピーチ】

 映画は、ハーバードを卒業するエルの首席スピーチで終わる。これも、映画を観た後だと、胸に響くものがある。長さも短いし、英語学習の音読教材としても最適。


Legally Blonde 2 of 2

 

 

Professor Stromwell:

ストロームウェル教授:

I am, personally, very honored 

とても光栄に思います

to introduce this year's class-elected speaker.

 今年のクラス代表者を紹介することを

After getting off to a quite interesting start / here at Harvard,

とても興味深いスタートを切り / ここ、ハーバードで

she graduates today / with an invitation 

彼女は本日卒業します / 招待を受けて

to join one of Boston's most prestigious law firms.

ボストンで最も威信のある法律事務所の1つへの

I am sure / we are going to see great things / from her. /

きっと / 素晴らしいことを学べるでしょう / 彼女から

Ladies and Gentlemen: Elle Woods.

みなさん、エル・ウッズです


Ms. Woods:

ウッズ:

On our very first day at Harvard,

ハーバードでの最初の日、

a very wise Professor quoted Aristotle:

あるとても博学な教授は、アリストテレスを引用しました

"The law is reason free from passion."

「法は情熱と無縁の理性である」

Well, no offense to Aristotle,

アリストテレスを責める気はありませんが

but in my three years at Harvard

でも、ハーバードでの三年間で

I have come to find that / passion is a key ingredient

気づきました / 情熱は欠かせないものだと

to the study and practice of law -- and of life.

勉学や、法の実践、そして、人生に。

It is with passion, courage of conviction,

情熱と、勇気ある確信、

and strong sense of self / that we take our next steps into the world,

そして、強い自意識によってこそ、/ 私たちは世界への、次の一歩を踏み出すのです。

remembering that first impressions are not always correct.

第一印象がいつも正しいとは限りません。

You must always have faith in people.

いつも人々を信じてください。

And most importantly,

何よりも大切なのは、

you must always have faith in yourself.

 自分自身を信じることです

Congratulations class of 2004 -- we did it!

2004年のみんな、おめでとう。やったわ!

 

 (了)